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cow(牛)はbeef(牛肉)でpig(豚)はpork(豚肉)のわけは

15th May 2015

英語では牛肉のことをbeef、豚肉のことをporkと言います。chickenは鶏肉ですが、対応する動物である鶏は、おんどりやめんどりという呼び方で、roosterやhenになります。また羊sheepは羊肉mutton、鹿deerは鹿肉venisonのように、英語では肉の名詞と対応する動物の名詞が異なっています。考えてみたら、これってちょっと不思議じゃないですか?

実はbeefやporkなどの肉の名詞の語源は、英語ではなくフランス語なのです!これには歴史的な経緯があります。イギリスとフランスが戦争していたいわゆる百年戦争(1330~1450年代)で、イギリスはフランスに敗れました。その後約300年ほどもの間、イギリスがフランスのノルマン人に征服された時代がありました。その間、イギリス人の多くはフランス人の奴隷となり、主に上級階級の公用語はフランス語でした。奴隷にさせる仕事の一つとして家畜の世話があります。イギリス人が育てた家畜の肉をフランス人が食べるというわけです。ここから、動物の名前は英語で、その肉が食卓に上がるとフランス語の名前で呼ばれるという変化が生じ、今日の英語の肉の名詞に残っているということです。食卓に料理として出されるお肉はフランス語、それ以前の家畜として調理されるお肉は英語という、少々皮肉な関係が伺い知れますね。

その他にも、この時代にフランス語から入った英単語は、料理名はもちろん政治・行政用語や宗教用語など多数に及び、歴史的背景に繋げて考えてみるのも面白いと思います。

寺岡