自転車の便利
7th Apr 2023
日本では、4月1日から自転車に乗る時にヘルメットを被ることが努力義務となりました。毎日自転車で通勤する身としては、気になるニュースです。
日本での交通事故による死亡者数は、10万人あたり3人前後、とイギリスを含む他の先進国と大きな違いはないそうです。しかし、死亡した人の内訳でみると、日本は目立って「歩行中」と「自転車走行中」の割合が多く、「車を運転中」の割合が多い他の先進国とは反対です。日本人ドライバーの運転が無謀で交通ルールへの認識が不足しているのか?とヒヤッとします。これでは、今回のヘルメット着用の喚起も必然だったというものですね。
イギリスでは自転車走行中の死亡率が日本のように高くないため、ヘルメットの着用は義務ではありません。では、ヘルメットを義務化せずにどうして死亡率を低く抑えられるのでしょうか。イギリスの都市部では「危ないし」「交通の便もいいので」自転車をあえて利用しない人が多いのです。それに反し、日本は便利な都市部に住んでいてもさらなる便利を求めて「ちょっとそこまで」行くために自転車を使う習慣が定着しています。だから日本では自転車利用者がやたらと多く、その分事故率も上がるというもの。
また、そもそもイギリスと日本の徒歩圏内の概念が大きく異なり、日本人が「徒歩20分なら自転車を使う」のに反し、イギリス人は歩くのが当然と考えます。自分が自転車で通勤しているというと、たいていのイギリスの人は「健康的でいいね」と褒めてくれます。でも、実は歩いて30分だと言ったら「それなら歩けばいいのに」と言うに違いありません。イギリスで自転車を利用する人のほとんどは「通勤」「運動」のために長い距離を走行する人が多く、購入されている自転車もロードバイクがメジャーで、“ママチャリ”的なものはほぼ見かけません。
日本はいっそのこと、ヘルメット着用を義務化したらどうでしょう。「ちょっとそこまで」行くのにヘルメットは面倒、と自転車を使わずに歩く人が増えれば、事故が激減するのでは?かくいう私もヘルメット義務化の際には徒歩通勤にしようかと考える一人です。ただ、もう一方の歩行者の安全については課題が残ります。まさか歩行者にヘルメット着用は強要できません。やはり歩道の整備や、なにより車両運転中のマナーと配慮が鍵になるのかもしれません。早く歩行者に優しい国になってほしいものです。
山岸