新しいのも悪くないけれど
18th Apr 2025
最近はどこの国を旅行してもホテルやあらゆる施設がどこも似たような超モダンなデザインで、どこにいるのかわからなくなるような錯覚を覚えることがありませんか?天井まである大きな窓やオープンプランの室内、水回りも使い勝手よく、日本にいるときのように快適です。
確かにそれはイギリスにも見られる傾向で、たとえばここ10年くらいの一般家庭の住居を見ると、かつての「これぞイギリス」な家のイメージが古びてきていることを感じます。それを表す一つが、渡邊オフィスの留学生がお世話になるホストファミリーのお住まい。写真を通じて見る室内は、インテリア雑誌で見るような今流行りのテイストで統一され、中には新築物件もあり、一見どの国だか判別できないようなお宅が増えていることに驚かされます。ボーディングスクールもしかり。学校によっては、寮やダイニングなど、昔とは比べ物にならないほどハイテクで明るく、快適です。その証拠に、以前に比べて留学生たちからの文句が圧倒に減りました(笑)。
ただ、留学生が旅行者と異なるのは、彼らがホストファミリーのご両親の家を訪ねたり、お友達の別荘に招かれたり、と、そこで「年代物」の家に遭遇する機会があるということです。イギリスでは100年や200年前に建った家を住み継いでいることも珍しくなく、中には梁に頭がぶつかるような低い天井、でこぼこな床に合わせたいびつなドアや、流れにくいお手洗いなど、と、立ちどころに“不便”と“異文化”を感じることができます。ただ、こういった家々には長年手をかけてきたからこその“温かみ”や“個性”がしっかり残っています。ボーディングスクールでも、最新の施設がある一方で、学校の顔に当たるような場所は必ずと言っていいほど、学校創立時からある歴史的な建物内に置かれています。深い色味のパネリングの校長室、石造りのチャペル、歴代生徒が刻んだ落書きが残る図書館の机などは、その一例でしょう。
旅行は自分に合った快適と嗜好を選ぶことができますが、留学生はその土地の文化や習慣をそのまま受け入れるしかありません。それは「不便さ」や「自分の常識と違う」ことを体験するということです。ボーディングスクールに留学する子ども達にそのチャンスが依然あることにも、ちょっと安堵します。
山岸

博物館のような図書館!

モダンな寮の談話室