読書感想文はお好きですか?
17th Oct 2025
日本の学校に通ったことがある人はみなさんこの「読書感想文」という言葉に耳慣れていると思います。夏休みの終わりに書かれた読書感想文の宿題に関する新聞記事を読んで、日本の教育がまったく変わっていないとここでも改めて思いびっくり!
昔、国語の嫌いな私はこの宿題が嫌で嫌でたまりませんでした。読書は大好きで今でも内容は別として大量の本を読んでいます。そしてある時にこの読書好きと感想文嫌いの矛盾に気が付きました。そう言えば、イギリスでは、学校でも大人になってからも読書感想文は書いたことがなく、読書の楽しみだけを追求するからではないか? 私を含めて、大人になって読書感想文を書いたという人はほとんどいないと思います。イギリスの学校では読書感想文を書くという発想はなく、世の中に存在するあらゆる文章を書くことを学びました。生活していく上で必ずや必要になる文章の数々。問い合わせ文、依頼文、謝罪文、招待状、あいさつ文、感謝状、創作文、論文と数限りなくあります。目的のある文章は書いていても面白い。日本の教育でこれらの文章を書く練習をした覚えがないのは私だけでしょうか? イギリスの教育がいかに現実的かを語るよい例です。AIが出現しようとイギリスの教育では嫌と言うほど文章を書かなければなりません。留学当初英語力が低い留学生にとっては一番高い壁となります。良く「日本人は書くのはできるが、英語での会話が下手」と言われますが、現実は違います。留学生の場合、会話は時間とともにほとんどの子達はとても達者になりますが、英語検定の評価は9割の子達がこの「書く」つまりWritingで点が取れず苦労するのです。年少でプレップスクールから留学した子、あるいはもともと文才のある人を除き、日本の教育においてほとんど文章を書くというトレーニングがされなかったことが大きな敗因ではないかと思います。英語力ではなく、文章力が育っていない。
留学生を指導していて分かるのは、読書の量(感想文なし)の多さ、そして文章上で意見を戦わせるということを繰り返し繰り返し練習することです。例えばあるテーマを与えられ、それについての賛否両論を展開して自分なりの結論に持って行くというのが入試でも最も多い出題です。これはすでに10~12歳で受けるシニアスクールの受験では典型的です。
今はAIがあるから大丈夫?なのでしょうか。結論が出るのはずいぶんと先になるでしょうね。
渡邊