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スポーツから引退するって?

7th Jun 2024

最近、受験を経て高校に入学した新高1生達の体力低下が、問題になっているそうです。

中3の夏休みを境に運動部を「引退」して半年間受験勉強に打ち込んだ結果、運動不足となり、高校に入学してから急に運動をしてケガをする生徒が後を絶たないとのこと。そこで自治体や教育委員会が運動しなかった空白期間をどう埋めてケガを防ぐか、専門家を巻き込んで取り組んでいるというのです。

この「引退」の習慣、どうしても必要なものなのでしょうか?すぐに頭に浮かんだのは、イギリスのボーディングスクールの生徒らのことです。もちろん、彼らにも大事な検定試験や、中高、大学受検があります。でも、日本のように「受験生だから」と運動から引退するという習慣は全くありません。彼らは受験時期もそれまでと同じペースで運動に携わり、他校との対抗試合も変わらず毎週行われ、たとえ翌日に試験があろうとも、当然のように出場して汗を流します。なぜか?彼らにとって運動は勉強と同等に人間が生活する上で必要なもので、それを「休む」という発想がないのです。運動はあまりに日常に溶け込み過ぎていて、勉強と「両立」しているという意識すらないかもしれません。

人は日常生活の中でタスクが重なり、忙しくなることはしょっちゅうです。大人になればそれこそ仕事と家事、子育て、親の介護、そこに自分の趣味も取り入れて、、、と、マルチタスクが押し寄せてきます。学生時代に勉強のために運動や習い事を休むことが当たり前となり、いつしか「一時にこなすタスクは一つだけ」に慣れてしまった子どもが大きくなった時、複数の事が押し寄せたらどう対応するのでしょうか?

誰も疑問を持たずに習慣化してしまったこの「引退」。これを止めれば冒頭で書いた問題はすぐに解消できるはずです。

山岸