本物志向
6th Dec 2024
先日、渡邊オフィスの留学生が在籍するある男子校が、「レ・ミゼラブル」を上演していました。校内にある立派なシアターで、なんと4日間連続、いずれも夜の7:30開演、チケットは一般の方々も購入できる(お財布にやさしい金額ですが)という、さながらロンドンのウェストエンドを彷彿とさせる本格派。キャストはオーディションで選ばれ、演出、音楽、装置、衣装などそれぞれプロ並みの先生が担当し、リハーサルと最終日にはプロのカメラマンが何百枚もの舞台写真を撮影して後日公開されていました。これって、ほぼプロの世界で行われていることと同等?・・・しかし、実際に、この学校だけではなく、イギリスのボーディングスクールは演劇以外の美術、音楽、舞踊などの芸術活動においても、同じ様に本格的レベルで生徒達が活動しています。
なぜイギリスの学校はここまで「本物志向」なのでしょう?元々芸術に造詣が深い国柄というだけではなく、生徒が「本物とは、実社会でのプロと何か」を知る機会を提供しようとしているのではないでしょうか。私自身、日本で高校時代に芸術方面への進路を志したものの、美大に進学して初めて本物のアーティストがどんなものかを知り、自分が選んだ進路に疑問を持ってしまったとうい苦い経験があります。もし、高校時代に本物のアーティストの世界を知っていたら、他の進路を選んでいたかもしれません!
冒頭に書いた男子校の生徒らも、プロと見紛う舞台経験をした後で、もっと演技の世界に惹かれたかもしれませんし、他の分野に興味を移してそこで別の本格的な活動を始めているかもしれません。イギリスのボーディングスクールは、このように子ども達に「本物」を通じて体験値を増やし、自分の志向とすり合わせる機会を与えてくれています。この環境は、私から見ても羨ましいのひと言に尽きるのです。
山岸